車を速くするためにいろいろな工夫を懲らすけどちょっとした作業で速くなるなら是非やって
みたいと思いませんか?そんな夢のようなチューニング手法を日夜考えているけれど、そんな簡単に
見つかるぐらいなら誰でもやっているはずだよね!でもあったんです。当時としてはそんな掟破りな事を
してもいいのかと批判されそうだけど、違法改造なんで可能性があるならなんでもありありでトライ
してもいいと思ってました。これはYSRがオープンした頃のお話です。
(お客様が乗っていたMA70 前期型のエアロトップ車ですね。)
それは一人のお客様のこんな言葉から始まりました。「もうちょっと、下からブースト
かからないかなー?」。そのお客様の車はMA70リミテッドでした。他のお店でターボA仕様の
ターボチャージャーを組み付けてもらったんですが、ノーマルターボと比較すると100psぐらい
能力が高い為下が無くなるのは当然でした。町乗りが基本の人にとっては、下が無くなるのは大変
辛いことらしく下はそのままで上だけ良くならないかと思う欲深い人たちなのかもしれません(笑)
現にこの私も速くはしたいですが使いづらいのはいやですね。そんな思いがSチューンを生んだのです。
そこでお客様と相談してハイブリッドターボを作ろうと話が決まりました。要はノーマルターボの
エキゾースト側とターボAのコンプレッサー側を合体させる物でした。早速ターボを車体から降ろし、
コンプレッサーハウジングを外して見たところ、コンプレッサーブレードの外径がノーマルより
ターボAの方が大きかった為に無加工で取り付けることが出来ませんでした。しかし、何もしないで
元に戻すのはすごく嫌だったのでなにかしてやろうと思い、コンプレッサ−ハウジングをポート研磨の
要領で削ってから元に戻しました。この時はそんなに効果があるなんて誰も想像しませんでしたし、
加工している私でさえ良くはなっても悪くなることは無いだろうぐらいしか思いませんでした。
取り付けが終了してお客様に渡し、しばらくすると電話が鳴り「VVC(*1)いじった?」と
聞かれました。何でと聞くとブースト圧が1.5k指しているというのです。こちらとしては
そんな危険な事をするはずがないので、何故勝手にブーストが上がってしまったのか不思議でなりません
でした。その時は調整し直して走ってもらいましたが、しばらくするとまた電話が鳴り今度は
「なんか速いんだけど・・・・・」すると私は「・・・・・・まあ、速くなったんならいいんじゃない」
と言うぐらいの答えしか返せず、その日はなぜ速くなったんだ?と思い答えを知りたくて考え込んで
しまいました。しかし、これはお客様の思い込みが強い為に速くなったと錯覚しているんじゃないかとも
思いましたが、実際に速くなったと感じたのならば10馬力以上上がっててもおかしくはないと思いました。
*1 電気式ブーストコントローラーが出る前に使われていた機械式ブーストコントローラー
あの改造が本当にそれだけの効果があったのか?ただターボチャージャーの吸い込み口を
削っただけじゃないか・・・。それだけのことで馬力が上がるなんて・・・。それまでのいろんな
ケミカル用品やパーツなどはなんとなく良くなったな〜と思う程度で、眉毛につばを付けたくなるような
物ばかりだったからSチューンもつばを付けたくなったとしても何ら不思議ではなかったのです。
こうなったらデーターを取ってやろうじゃないかと思いました。そこで候補に上がった車はまたも
MA70のリミテッド仕様でターボはノーマルで実験することにしました。この車はマフラー
ブーストアップ仕様で嬉しいことにHKSのEVC(*2)が付いていた為にコントローラをいじらなければ
常にブースト圧が一定なので比較するにはもってこいの車でした。
(*2)電気式ブーストコントローラで代名詞とも言える製品
まず手始めにこのままの状態でパワーチェックに行き、結果は緑色の線で最高出力は
294PSでした。その後すぐにYSRに帰りターボを降ろし加工をしてその日のうちに再度パワーチェックを
したかったのですがタイムアップしてしまいその日は断念しました。次の日にパワーチェックをしたら
赤い線のようになっていました。ご覧のようにブーストがかかり始めてから全域に渡って馬力が
上がっているのがおわかりになるでしょうか。最初、自分の目を疑いましたが確かにたかだか300PS
未満の馬力が最大で20PSも上がっているのです。パワーチェックをしていただいた店長にも
「ブースト上げていないし、見た目何も変わってないよね。なにやったの?」と聞かれる次第でした。
ただ、高回転側でノーマル時よりも悪くなっているのが気に入りませんがセッティングでどうにでも
なることは分かっていましたからあまり気にしていません。結果からいえばこれだけのパワーアップなら
確かに誰でもわかるでしょう。ましてや大きいターボやハイブースト仕様ならその差は更に広がる
事が容易に想像できます。
(一番下に大きいグラフがあります。)
このように馬力が上がる事実は突き止めたのですが、何故このような結果になったのか?
当時は私も若くすぐには理解することが出来ませんでしたが導き出した答えはこうです。
ターボチャージャーの吸い込み口を滑らかに加工することによって同一のタービン回転数ならば
吸入空気量が増大します。これは、ブーストが上がったことで証明しています。それを同じ
ブースト圧にして吸入空気量を同じにしてあげると、ターボチャージャーの回転数が下がることになります。
ターボチャージャーは排気エネルギーでコンプレッサーを回しているシステムですから、回転数が
少なくて済むことによって排気圧力が下がることが言えます。エンジンはシリンダーの中に
どれだけの空気が入ってくれるかによって馬力が左右されてしまいますから、ターボ付きのエンジンは
排気圧力が上がってくると馬力が出なくなってきます。逆に同じブースト圧なら排気圧力が低ければ
低いほどシリンダー内の残圧が下がり、フレッシュエアーが入りやすくなります。結果として馬力が
上がるということになります。また、排気圧力が下がったことによってメカニカルロスの低減にも
一役買っていると思います。と、言うように私は考えました。
よくよく考えてみたらエンジンのパワーアップは空気の流れているところを効率のいい物に
変えて行くんだなと思います。まず手始めにエアークリーナーを変えターボを大きくして
インテークパイプを太くしてインタークーラーをGTRサイズにしてスロットルを大きくして
ポート研磨を施し、カム、タコ足、マフラーと言ったように全て空気の流れを良くしようと
意図が見えてきます。え、そんなことは今更言われなくても分かっているって!でも、もう一度
考えてみてください。エンジンのシリンダーの中にたくさんの空気が入って初めてパワーアップするって
事を。どんなに素晴らしいターボが在ったとしてもそれを取り巻く補記類やエンジンが
バランス良く組み合わされていなければ何の役にも立たないって事を。ましてやエンジンその物の
出来が悪ければどんなに空気を押し込もうとしてもその限界は知れているからです。
今でもSチューンほど簡単で効果的なチューニングは見つかっていません。どなたか良いアイデアが
在ったら是非、こっそりと私までメールください。(笑)
最後まで読んでいただいてありがとうございました。